↻March 10, 2017
↻February 3, 2018

「信仰の半分」とも言われる、結婚について今回は見ていきたいと思います。

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まず、結婚相手として大事な条件は「信仰心」です。
コーランにも、「多神教徒の男女よりも信仰のある奴隷の方が良い(2:221)(※1)」と記載されています。

男性は、ムスリムの女性との結婚が望ましいとされていますが、啓典の民であるユダヤ教徒やキリスト教徒の女性とも結婚できます。女性は、ムスリムの男性のみ許されています。
ただ、最近は国際結婚の増加に伴い、異教徒との結婚で改宗しない人も増えているようです。
しかし基本ムスリムの親から生まれた子どもはムスリムなので、子どもの宗教問題が発生します。


そして、イスラームにとって結婚とは、個人の間の「契約」です。
これをニカーと言います。イスラーム法(シャリーア)に基づく結婚契約です。

その内容としては、まず新郎・新婦は、コーランの4章23節にも記載があるように、結婚条件を満たしていなくてはなりません。この23節には母親や姉妹、おばなど近親者との結婚が禁じられている旨記載されています。

そして、新郎と新婦側の「ワリ」と呼ばれる保護者(父親がなる場合が多いよう)との間で契約をします。この時、2人の証人の同席が必要となります。

そして、新郎が新婦側に対して、結納金を譲渡し、新婦側が結納金を受け入れることで、結婚の契約が成立します。

このニカーは、モスクで行うこと、金曜の午後に行うこと、シャワルの月(ラマダン(断食)明けの翌月)に行うことが推奨されています。

私たち日本人にとって、またノンムスリムの人が多く住む国において結婚の手続きというと、
婚姻届けを役所に提出して、晴れて夫婦となる、というプロセスを経ると思いますが、
イスラーム法においては、ニカーが必要となります。

最後に、結婚式については、下記のようなことが推奨されています。
・契約の後に行うこと
・少なくとも1頭の羊を用意すること
・可能であれば2,3日行うこと
・裕福な人も貧しい人も招待すること
・新郎新婦のためにドゥアーを行うこと

【追記】
イスラームにおける結婚につき非常にわかりやすくまとめてあるNEW MUSLIM GUIDEというサイトを見つけましたので、是非ご紹介させて頂きたいと思います。
そのサイトは、こちら
結婚後の妻及び夫の諸権利についてもまとめられており、妻となる女性が享受できる権利は、夫となる男性よりも多いです。こういった、女性を守るための教えがあるからこそ、キリスト教徒、ユダヤ教徒との結婚を許されている男性とは異なり、女性はムスリムのみの結婚を良しとされているのかもしれません。


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引用
※1:中田考監(2014)「第2章 雌牛章」、『日亜対訳クルアーン――「付」訳解と正統十読誦注解』、作品社、p.64

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参考
・塩崎悠輝(2014)「イスラームの結婚とは ― 信仰の実践上、重要な徳目」、http://www.chugainippoh.co.jp/ronbun/2014/0924.html、中外日報HP、2017年2月21日アクセス。
・SKIPサポートプロジェクトHP(n.d.)「ムスリム(イスラム教徒)との結婚」、https://sites.google.com/site/loveallahskip/room/islamkekkon、2017年2月21日アクセス。
 ・AlKauthar Institute(n.d.) "The fiqh of marriage",
http://hibamagazine.com/wp-content/uploads/2013/10/Infographic-Fiqh-of-Marriage.jpg , accessed on March 10, 2017.